『鴨下酒店』全国のローカル銘柄と出会える!マニアックで美味しい酒が揃う店

『鴨下酒店』全国のローカル銘柄と出会える!マニアックで美味しい酒が揃う店

酒場案内人 塩見なゆが酒屋角打ちフェスに出店するお酒屋さんを訪問し、店舗の魅力や出品銘柄をご紹介するコラム。今回は分倍河原駅近くの『鴨下酒店』です。酒蔵とのコミュニケーションを大事にする4代目・鴨下時也さんがまだ知られていない銘酒を紹介してくれます。

(2024年11月開催に合わせて一部修正)

「和醸良酒。酒造メーカーとお客様の仲人になる」をコンセプトに、全国の酒蔵に自ら赴き蔵元との関係を築くことで品揃えを増やしてきた、ローカルな日本酒に深いこだわりを持つ店『鴨下酒店』。

JR・京王分倍河原駅から徒歩12分ほど。JR南武線の西府駅からは徒歩5分ほどにある、東京都府中市本宿町の酒屋さんです。創業は明治34年と古く、甲州街道沿いに構える立派な酒販店です。

店頭には金蘭黒部や与謝娘、白真弓など、あまり首都圏では見かけない日本酒の菰樽が飾られています。そう、ここはマニアックで美味しいお酒が揃う店なのです。

周囲をマンションなどに囲まれた住宅街でどっしりと構える『鴨下酒店』は、入ってみるとその悠々とした売り場に驚きます。昨今の量販酒店のようなびっしりと並ぶ商品棚とは真逆で、広く様々な日本酒・ワインがじっくり眺められるように並んでいます。

知られざる酒蔵の魅力を引き出し、酒の奥深さを教えてくれる

鴨下酒店 4代目 鴨下時也さん

マニアックなお酒を丁寧に解説し、その魅力をわかりやすく教えてくれる4代目店主の鴨下さんにお店の特徴や角打ち営業、そして酒屋角打ちフェス用に準備しているお酒について伺いました。

塩見
塩見

お酒の品揃えが素晴らしいですね。しかも、あまり知られていない珍しい銘柄が多いように思えます。

鴨下さん
鴨下さん

いらっしゃいませ!

当店に並ぶ日本酒の8割以上が、酒蔵との関係を築き直接取り引きで仕入れたものです。

酒蔵が造るお酒をお客様にお届けするのが酒屋の役割ですが、当店では蔵元や杜氏さんの想いも含めてお伝えしたいと思っています。
扱うお酒はもちろん有名な蔵のお酒もありますが、少人数でつくる小さな酒蔵や、まだ東京では知られていない珍しい銘柄が中心です。本当に美味しいと感じるお酒を揃えています。
雑誌などに紹介される有名なお酒に負けず劣らずの美味しいお酒を、しっかりとご提案していたいと思っています。

鴨下さん
鴨下さん

実際にお酒を飲んで頂き、気に入ったお酒を購入して欲しいという考えから、普段から「試飲所」コーナーを設けています。

塩見
塩見

冷蔵庫にはかなり高級なお酒が並んでいますね!希少なお酒もあります。これだけあると、やはり日本酒にこだわる飲食店さんも仕入れにいらっしゃるのではないですか。

鴨下さん
鴨下さん

はい、お陰様で都心湾岸部など遠方からわざわざ買いに来てくれるお店さんもいらっしゃいます。
小さな酒蔵は生産能力の少なさもあって卸す酒屋さんをしぼっています。ですので、東京都内では当店でしか扱っていないような銘柄も多いです。

塩見
塩見

そうした酒蔵さんとの関係を築くために全国の蔵を訪ね歩いているのですね。

鴨下さん
鴨下さん

洋酒と違って、日本酒は造り手の方に会いに行くことが出来ますし、どんな気候のどんな田んぼでつくられた米か、どんな酒蔵でどんな杜氏さんがつくっているかまで訪ね、体感することが出来ます。
そうやって肌で感じて、本当に良いと思った蔵との付き合いを増やしたいと思ってやってきました。現在は日本酒36蔵と直接取引の関係になっています。

塩見
塩見

地下もあるのですね。わぁ!立派なワインラセーですね。ワインにも力を入れていらっしゃるのですね。

鴨下さん
鴨下さん

コンビニ登場以前は、町の御用聞きの酒屋さんとして幅広い商品を扱ってきました。やがて流通の多様化などでお酒がどこでも買えるようになった頃、私の父がワインで差別化しようとはじめました。地階をつくり常時冷温で保たれたワインセラーも作りました。

日常的に飲めるものからハイクラスな商品まで幅広く揃う地下のワインセラー。
鴨下さん
鴨下さん

日本酒に力を入れるようになったのは私が店を受け継いだ7年ほど前からです。全国の酒蔵を訪ね、都内では当店でしか取り扱いのないような珍しいお酒をみつけ、お客様に提案してきました。

角打ちについて

塩見
塩見

いまは角打ち営業をされていないようですが、併設した喫茶店でもお酒が飲めるのですか?

角打ちは休止中ですが、併設したカフェで日本酒をいただきました。
鴨下さん
鴨下さん

当店はカフェを併設しており、カフェには酒屋で購入したお酒を持ち込むことが出来ます。(営業時間は酒屋と異なります。詳しくはお店にお問い合わせください。)

塩見
塩見

それではお言葉に甘えて、カフェにて角打ち体験を。
お酒は相模原市の津久井湖に近い久保田酒造がつくる「相模灘 特別本醸造 無濾過生酒にごり酒」をいただきます。とても珍しいお酒、これも1,200円ほどの手頃な小売価格で飲ませていただけるなんて素晴らしい!

あ、すっかり角打ちを楽しんでしまいました。第6回酒屋角打ちフェスに出品するお酒を教えてください。

知識豊富な鴨下さんとのお話はとても楽しいです。お酒好きならばずっと話していたくなること間違いなし!普通の量販店などではまず店頭に並ばない珍しいお酒のオンパレード、こういう酒屋さんとの出会いで、お酒のことがもっと好きになるのだと思います。

筆者 塩見なゆ (酒場案内人 / Syupo