酒場案内人 塩見なゆが酒屋角打ちフェスに携わる酒屋さんを訪問し、店舗の魅力や出品銘柄をご紹介するコラム。今回訪ねた酒屋さんは、2024年11月15日から開催の第9回酒屋角打ちフェスにも出店する、千代田区神田小川町の『神田小西』です。
業務用配達と小売だけでなく、直営のイタリアレストランも人気です
古くから栄えてきた神田エリア。現在はオフィス街のイメージが大きいですが、戦前から続く飲食店が多く、昔から多くの食通が通ってきた街です。
この街で、長年親しまれてきた酒屋さんが、『神田小西』の名で知られる小西株式会社です。お酒好きの方なら、小西という名に聞き覚えがあるかもしれません。寛永時代から続く江戸の歴史ある酒屋の名前で、『神田小西』も下谷にあった本店からの暖簾分けです。
創業は昭和7年。以来、文人墨客に愛されてきた名店をはじめ、多くの飲食店に信頼され、いまも飲食店向けの業務用の配達を主力としています。また、2011年より店の倉庫だった場所に、直営のイタリア料理店「ワインホール神田小西」(現在はIl falo神田小西)をオープンさせ、こちらも瞬く間に評判のレストランとなりました。筆者もプライベートで幾度となく利用してきました。
今回訪ねたのは、そんなレストランの横にある小売コーナーです。店先には有料試飲のスペースもあり、こちらも広義の意味では角打ちと言えますね。
インタビューを受けてくださったのは、神田小西の5代目、三澤佳秀さんです。終戦後は一時期GHQ向けのお酒を配達していたなど、興味深いお話を数多く伺うことができました。
近年は酒販店が直営の居酒屋やバルなどの飲食店を経営することは一般的になりましたが、2011年にオープンされた神田小西さんのワインホールはその先駆けだったように思います
業務用(飲食店向けの配達)の酒屋は、ご存知の通り飲食店さんがお得意さまです。ですから、自分たちで直営店を開くというのはバランスが大切です。近隣のお得意さまの多くが和食業態でしたので、私たちはワイン業態にしようと決めました。隣にある「角打ち 神田小西」とあわせ、飲食事業は2店舗になります
お取り扱いのお酒の特長について教えてください
もともと各社の特約店としてワインの取扱数が多かったことも、ワインホールを開いた理由でした。もちろん、日本酒にも力を入れています。酒造会社との関係を築き、直接仕入れたものも増えています。
小売コーナーの店頭でご用意しているお酒は、業務用で扱っているお酒の中でも、一般の方にお伝えしたいこだわりの銘柄ばかりです。小売スペースは限られていますから、思い入れのあるお酒を並べています
店頭に設置されているタンク詰めのお酒も気になります
本来蔵元でしか飲めない搾りたての生酒を、KEGと呼ばれる日本酒専用タンクに詰めて輸送したものです。当店では、北海道の道央エリアで注目の酒蔵、上川大雪酒造の「十勝」と、三千櫻酒造の「おりがらみ生原酒」を揃えました
グラス1,000円ということは、店頭で飲めるんですね!
ぜひ味わってみてください。フレッシュで美味しいですよ!上川大雪は、2017年に北海道で20年ぶりに新設(三重県からの移設)された酒蔵です
だいぶ話題になりましたよね!酒造りによる地域活性化としてだけでなく、なによりその美味しさが評判です。タンク詰めの上川大雪を東京で飲めるなんて感激です
酒屋角打ちフェスでは、こちらの上川大雪と三千櫻のケグをメインに販売します。北海道発のフレッシュな美味しさ、ぜひご賞味ください
日本酒好き必見!老舗の業務用酒卸、神田小西さんが酒屋角打ちフェスに参戦。ケグ生酒のフレッシュな味わいを、ぜひ会場で体感してください。普段は味わえない、貴重な生酒との出会いがあなたを待っています。
筆者 塩見なゆ (酒場案内人 / Syupo)