酒場案内人 塩見なゆが酒屋角打ちフェスに携わる酒屋さんを訪問し、店舗の魅力や出品銘柄をご紹介するコラム。今回訪ねた酒屋さんは、足立区千住にある『成田酒店』です。
北千住駅から西へ約10分、日光街道に近い『成田酒店』は、昭和元年創業の歴史ある酒屋さんです。
特徴のあるお酒を豊富に揃え、小売をメインに、近隣の老舗飲食店への配達も行っています。店先には縁側風のテーブル席があり、購入したお酒をその場で楽しむことができるなど、この界隈のお酒の発信スポットとして親しまれています。
酒屋角打ちフェスでは、2024年秋より登場した公式キャラクター「アルク」のデザインやコンセプトを担当されました。
「千住の新しい特産品」をテーマにしたオリジナルのお酒
こんにちは!まずは取り扱っているお酒の特長を教えてください
オリジナルのお酒に力をいれています。こちらは本格焼酎「やっちゃ場」という、米焼酎をベースに糖度の高い千住ねぎをつかったお酒です。製造は昔、千住に蔵があった太田酒造さんにお願いしています
北千住の居酒屋さんで飲んだことがあります。成田酒店さんで販売されているのですね!
こちらもオススメです。
かつて、足立区は「荒川の五色桜」として知られる、都内でも有数の桜の名所でした。堤防工事などの影響でその姿は消えてしまいましたが、実は明治45年、この足立区から桜の苗木が太平洋を渡り、ワシントンD.C.に植えられました。現在、世界的に有名なポトマック公園の桜は、この足立区を旅立った桜の子孫なのです。
昭和56年、荒川沿いの桜並木を復活させようというプロジェクトがスタートし、桜の里帰りが実現しました。この桜は「レーガン桜」と名付けられ、再び荒川沿いで美しい花を咲かせるようになりました。
このビールは、日米の桜交流100周年と足立区制80周年を記念し、千住の酒販店有志の会「酒千会」がレーガン桜の酵母を用いて醸造したエールビールです。足立区の歴史と、日米友好の象徴である桜の物語を、ぜひご堪能ください。製造は新潟麦酒さんです
千住の酒屋さんならではの企画ですね!
私が長野県にしばらく住んでいたので、長野のお酒も多く揃えています
珍しい銘柄がたくさんありますね
あとは、珍しいところですと長野の友人たちが作っているハードサイダーがあります。このあたりで扱っているお店はほかにありませんので、ぜひお試しいただきたいです。
ちょい飲みベンチで角打ちを楽しもう
最近になって、店先にベンチを設置したそうです。お店で買ったお酒を気軽に店先で味わってほしいという思いからだそう。小さな角打ちスペース、お酒好きには嬉しいですね!
購入したお酒は、先ほどご紹介いただいたクラフトビール「あだち桜物語」です。瓶内に酵母が沈殿しており、これを泡立たないようにゆっくりと混ぜつつ注ぐと、こんなに鮮やかなピンク色になります。華やか桜の香りが楽しいビールです。
北千住駅前通りから1本入った場所にあり、店先で飲んでいてもとてもくつろげます。
アルクくんはゆりかもめ
創業からもうすぐ100年という歴史ある成田酒店。
コロナ禍を機に、長野から足立へUターンし、家業を継いだ成田夏紀さんは、長野でされていたイラストレーターとしての感性を活かして、酒屋に新しい風を吹き込んでいます。
そんな成田さんが手がけたのが、酒屋角打ちフェスのマスコットキャラクター、アルクくんです。東京都の鳥、ユリカモメをモチーフに、NHK Eテレの子供番組などからインスピレーションを得て、温かくて親しみやすいキャラクターに仕上げました。
各酒屋さんの想いを聞きながらデザインされたアルクくんは、酒屋角打ちフェスの顔として、多くの人々に愛されてほしいです。
※取扱銘柄は予告なく変更となる場合があります。
筆者 塩見なゆ (酒場案内人 / Syupo)