酒場案内人 塩見なゆが酒屋角打ちフェスに出店するお酒屋さんを訪ね、お店の特長や出展に向けた意気込みをインタビュー。角打ち営業しているお店では、もちろんお酒を頂きます。今回は中央区新川にある『今田商店』を訪ねました。
(2024年11月開催に合わせて一部修正)
東京都中央区の新川は、酒蔵の東京支店や酒卸、酒販店が数多く集まるエリアで、江戸時代から酒の町として知られています。これは、西の酒どころである灘などから樽廻船で運ばれてきた下り酒(富士見酒)を、新川で荷揚げ・集積したことが由来です。
酒屋角打ちフェスに出展する『今田商店』は、そんな新川のほぼ中央に位置する酒販店。今回は4代目となる今田健夫さんにお話を伺います。
100年続く老舗の酒販店
まずはお店の歴史を教えてください。
当店は、広島にゆかりのある酒屋です。東広島市安芸津町にある「富久長」の蔵元・今田酒造本店の今田家と、竹原市で「誠鏡」をつくる中尾醸造の中尾家の間で結婚したことがきっかけとなり、「富久長」と「誠鏡」を東京で販売することを目的として、ここ新川に出店したと聞いています。
創業は1923年。昨年、創業100年を迎えました。
昔から角打ち営業はされていたのでしょうか。
私が家業を継いでから角打ちをはじめたので、角打ちは7年くらいです。ちょっとした有料テイスティングコーナーとして始めたのですが、少しずつ近隣のお客さまに角打ちの楽しみ方が広まり、ご利用が増えてきました。より多くの方に楽しんでいただけるように、カウンターをさらに広げています。
品揃えのコンセプトについて
酒屋さんはそれぞれテーマをもって商品ラインナップを選定していると思います。今田さんは、どんなタイプのお酒に力をいれていますか。
創業の経緯から、広島の日本酒が店の柱であることは変わりません。全般的に、特約店として直接取り引きで仕入れているお酒が多いです。東京ではあまり見かけないお酒を積極的に仕入れています。流行の銘柄にこだわらず、地方の知られざる名酒を広めたいという思いです。
扱うお酒のタイプに特徴がありますか。
純米大吟醸のようなお酒よりも、純米などのレギュラー銘柄が多いかもしれません。食中酒にぴったりな「スゴイ地酒」をテーマにしています。
国産ウイスキーや勝沼のワインなど、日本酒以外でも尖ったものが多いですね。お酒が進みそうなおつまみも充実しています。
17時になりましたから、角打ち営業を開始します。カウンターへどうぞ!
地元のお酒好きが集う、今田商店の角打ちコーナー
待っていました!角打ち開始のタイミングで、すでに地元のお客さんがたくさん。皆さん、どんなお酒を注文されるのでしょう。
東京ではあまり広まっていないお酒を知っていただきたいという店のコンセプトなので、昔からの角打ちのような、缶ビールと缶詰で安く飲むというスタイルはとっていません。良いお酒、美味しいおつまみをご用意しています。人気は地酒3種類飲み比べ(880円)です。
では、3種類飲み比べをお願いします。どんなお酒があるのでしょう。
空になったら新しいお酒を開けていくので、銘柄は日々入れ替わっています。今日はこんなラインナップです。時期的(1月取材)に、新酒が多いです。この中からお好きなお酒を3種類お選びください。
すごい!飲んだことがないお酒が次々とでてきます。せっかくなので、すべて新酒をいただこうと思います。
イベントをきっかけに、実店舗へも
角打ちのお酒が充実していて、小売のお酒も個性豊かなお店、新川の『今田商店』でした。
筆者 塩見なゆ (酒場案内人 / Syupo)