酒場案内人 塩見なゆが酒屋角打ちフェスに携わる酒屋さんを訪問し、店舗の魅力や出品銘柄をご紹介するコラム。今回訪ねた酒屋さんは、2024年11月15日から開催の第9回酒屋角打ちフェスにも出店する、台東区根岸にある『鶯谷萬屋』です。
酒蔵とファンを繋ぐ、今の時代の酒屋
JR鶯谷駅から徒歩3分、歴史ある台東区根岸にある『鶯谷萬屋』は、個性的な酒屋さんです。
創業は昭和初期。戦前から続く酒屋さんで、初代は栃木から状況してこの地に店を構えたそゔです。
小売や業務用配達だけでなく、毎月、酒蔵のファンが集まるイベントを地下室で開催。酒蔵やワインの魅力を発信し、日本酒好きが集まる隠れ家として、多くの人を魅了しています。
落ち着いてお酒が選べるゆったりとした店内。冷蔵ケースには蔵から直接仕入れたお酒など、他店ではあまり見かけない季節銘柄がずらりと冷やされています。
レジの奥、店の地下へ続く普段は消灯している階段を降りていくと、そこは大きなテーブルを中央に配した立派な地下室がありました。温度管理がされており、普段は貯蔵庫として使っているそうです。ここでお酒のコミュニティが開催されているとのこと。気になりますよね!
一口飲んで惚れ込んだ菊姫の美味しさを広めたい
どんなコミュニティなのでしょう。3代目の店主の長 長 由起子さんにお話を伺いました。
こんにちは、まずは注力されているお酒について教えてください
日本酒は菊姫をメインに、開運や四季桜、寒梅、山形・米沢の歴史ある蕎麦店と同名で同店のオリジナル日本酒である「粉名屋小太郎」(錦爛酒造)などを扱っています。ワインはフランスへ仲間たちと買い付けに行き、実際に現地で味わったナチュラルワインを仕入れています。日本酒とワインに2つが当店のこだわりです
菊姫は、石川県鶴来町の酒蔵ですね!都内の飲食店ではなかなか飲む機会がないので、とても貴重です
当店は菊姫の特約店として、菊姫の全ラインナップを取り扱っています。また、うちの店限定のお酒もつくってもらっています。熟成酒も多数保管しており、その数はおそらく日本一です
それはすごい!栃木からご出店された酒屋さんと聞きますが、創業当初から菊姫さんとの関係があったのですか?
父の代から取引がありましたが、これだけ扱うようになったのは私の代になってからなんです。いまは日本酒が大好きですが、20代の頃はあまり得意ではありませんでした。あるとき、一口飲んだ菊姫(加陽菊酒)が驚くほど美味しくて、それ以来、菊姫の販売に力を入れてきました。蔵元の社長、柳さんとも仲良くさせていただいていて、毎月、菊姫をみんなで飲む「菊姫部」という活動を続けています
菊姫部!魅力的な響きです
ほかにも、菊姫好きのお客さんたちと毎年酒蔵へ行く「菊姫合宿」を開催していまして、蔵の皆さんと交流の機会をつくっています。菊姫の原料米「山田錦」をつくる兵庫県三木市の吉川町の米農家さんの田んぼにも通い、毎年稲刈りをしてきました
菊姫のことなら、鶯谷萬屋さんに相談すれば間違いなしですね!
こちらに並ぶワインは、すべてナチュールワインで、仲間と一緒にフランスまで買い付けに行ってきたものです
ワインについても、みんなでワインについて楽しく学ぶ、輪飲楽園(わいんがくえん)という講座を開催しています
こだわりの強い酒屋さんだからこそのファンとの関係がありますね!
酒屋角打ちフェスでは
第9回酒屋角打ちフェスでは、菊姫の全16種類に加え、貴重な樽酒もご用意されるとのことです。樽酒好きとしては大変楽しみです。菊姫の営業さんも来場されるということで、石川県のお酒の魅力について直接お話を伺える貴重な機会になると思います。菊姫の特徴的な味わいを、この機会にぜひご堪能ください。さらに、店主自ら厳選したワインも多数取り揃えるそうです。
筆者 塩見なゆ (酒場案内人 / Syupo)