酒場案内人 塩見なゆが酒屋角打ちフェスに携わる酒屋さんを訪問し、店舗の魅力や出品銘柄をご紹介するコラム。今回は「Akiba卓球スタイル」ブースでビールを販売する、千葉県松戸市のブルワリー『松戸ビール』を取材しました。
松戸で本格的なクラフトビールを
2019年に開業した『松戸ビール』は、松戸市で初となるクラフトビールブルワリーです。
松戸駅から徒歩3分ほど、市役所通り沿いに位置する『松戸ビール&タップルーム』は、松戸ビールが製造するクラフトビールをはじめ、ワインや日本酒も楽しめるお店です。
営業時間は15時から22時と長く、ゆったりとした雰囲気の中で、様々な種類のビールを味わうことができます。
テーブル数卓とカウンターというコンパクトな店内で、スタッフとお客さんの距離が近く、気軽にビールについて語り合うことができます。これはまさに、マイクロブルワリーのタップルームならではの魅力と言えるでしょう。
カウンターの奥には、様々な種類のビールのタップがずらりと並んでいます。本日のビールは、黒板の手書きメニューをチェック。
約20年前にクラフトビールに魅せられた
松戸ビールの代表、渡邊友紀子さんに、松戸ビールのこだわりや、味わってほしいポイントについてインタビューしました。
こんにちは!松戸初のクラフトビールブルワリーを立ち上げた経緯を教えてください
2000年代、私は溜池山王にあるスパイス料理店で働いていました。ちょうどその頃、子どもを神保町の塾に通わせていて、子育て真っ最中。家族で神保町へ行く際は、いつも靖国通りから一本入った老舗の酒場で、お酒を楽しみながら子どもを待つのが習慣でした。
そんなある日、いつもの酒場ではなく、新しくオープンした「クラフトビアマーケット 神保町店」に足を運んでみたんです。そこで飲んだビールは、今まで味わったことのないほどの美味しさで、私にとってクラフトビールとの運命的な出会いの始まりとなりました。
そんな背景が!そのとき飲んだビールを覚えていますか
ノースアイランド北海道IPAでした。これまで飲んだことのない、その爽快なホップの苦みとフルーティーな香りに感動し、働いていた溜池山王のスパイス料理店でも提供したいと思うようになりました。
それ以降、クラフトビールへの想いはますます深まり、クラフトビール好きのコミュニティにも積極的に参加するようになりました。
親族にも酒造りに携わる者がいたこと、そして長い間飲食業界で働いてきた経験から、いつか自分自身で食事も楽しめる食事も楽しめるブルワリーを立ち上げたいという夢を抱くようになりました。
そして、その夢を実現すべく、2018年に東京都中央区に「永代橋ブルーイング」をオープンしました。
永代橋ブルーイングさん、行ったことがあります。その後、松戸へ移られたのですね
ビールの醸造は、常に細心の注意を払い、管理し続ける必要があります。実際に作業に携わってみて、ビールづくりがいかに手間ひまがかかるものであるかを改めて実感しました。もっと身近に、そして気軽にビールづくりを楽しんでもらいたいという思いから、自宅がある千葉県松戸への移転を決意しました。
松戸で松戸ビールを立ち上げて、なにかビールづくりに変化はありましたか
松戸はベッドタウンですが農業も盛んな地で、農米をはじめ、和梨、レモン、ぶどう、それにホップまで生産しています。それら松戸の農産物を使った、松戸ならではのビールが作れるようになりました
地産地消ですね!ビールだけでなく食事も提供するタップルームも松戸の食材を使っているのですか?
すべてが松戸の食材ということはできませんが、食材は松戸にある地方卸売市場、松戸南部市場で仕入れています。ビールづくりから地元の農家さんとの関係も深まり、いまは一層、松戸を食材やビールで盛り上げていきたいと考えています
今回、Akiba卓球スタイルを運営する千代田区の酒屋さん経由で酒屋角打ちフェスに出店されますが、どんなことを伝えたいですか
これまで松戸駅前で開催された松戸クラフトビールフェスなど、近所のイベントに出店してきました。東京の中心部に近い上野公園での販売ということで、どれくらいビールを仕込み持ち込むべきか今は悩んでいます。
それでも、松戸のクラフトビールは美味しいと思っていただけたら嬉しいです。松戸の魅力、少しでも伝えられるようがんばります
今日はありがとうございました!
酒屋角打ちフェスで提供予定の松戸ペールエールとIPAスタイルのビールをいただきました。深いコクと苦味、華やかな風味が心地よいビールです。酒屋角打ちフェスの会場や松戸のお店でぜひ味わってみてください。
筆者 塩見なゆ (酒場案内人 / Syupo)